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新宿駅の再開発「新宿グランドターミナル」|計画の全体像と不動産への影響

「新宿グランドターミナル」は、世界一の乗降客数を誇る新宿駅の周辺を、2018年から2040年代にかけて再構築する、再開発計画の総称です。オフィス・商業・ホテルの新たなスペースが大量に供給され、歩行者動線が改善し、ビジネス拠点としての新宿の機能が強化されます。これにより、新宿および各鉄道沿線の不動産需要が大きく活性化されることが見込まれています。

新宿駅の乗降客数は1日およそ270万人にのぼり、世界のどの駅よりも多い規模です。いま、その駅を囲むエリアの再構築が進んでいます。この複数の開発計画を束ねる一大プロジェクト「新宿グランドターミナル」は、この都心の一角における人の流れ、働き方、そして街の体験そのものを変えていくことでしょう。

新宿グランドターミナル:概要

項目内容
正式名称新宿グランドターミナル
1日の乗降客数2,704,703人(2022年)/ギネス世界記録・世界一
計画の起点東京都・新宿区(2018〜2019年)
事業者鉄道5社・6駅・53のホーム
西口タワー約260m・地上48階・約279,000㎡/2029年度末 開業予定
西口の事業者小田急・東京メトロ・東急不動産
南西(南エリア)約225m・地上37階/時期は見直し中(京王・JR東日本)
南西(北エリア)約110m・地上19階/2040年代
西口駅前広場2035年度を目標
東西デッキ2046年頃

新宿は東京でどのような役割を担っているのか

The current Shinjuku Station, A key hub for Tokyo
現在の新宿駅

新宿駅は、鉄道駅の乗降客数として世界一のギネス世界記録を保持しています。JR東日本、小田急電鉄、京王電鉄、東京メトロ、都営地下鉄の鉄道5社が乗り入れる6つの駅から成り、53のホームが、東京北部・南部・西部の郊外から通勤する人々を受け止めています。また、東京都庁をはじめ、数多くの企業のオフィスが集まるこの駅は、交通の要衝であるだけでなく、東京都の重要なビジネス拠点でもあります。

新宿グランドターミナルが描く将来像

この再開発の中心にあるのは、新宿駅を「新宿グランドターミナル」として再編する構想です。この構想をもとに、東京都と新宿区は2018年・2019年に整備方針を公表、「新宿グランドターミナルの実現に向けた基盤整備」「国際競争力強化に資する都市機能の導入」「防災機能の強化と環境負荷低減」という3つの柱を掲げました。

新宿駅 南西口エリアの開発

Shinjuku station Southwest Exit Area Development CGI
南西口エリア(京王電鉄・JR東日本)

南西口で形になりつつある主要プロジェクトの一つが、京王電鉄とJR東日本が主導し、段階的に建設される2つの建物の開発です。

まず南エリアでは、高さ約225m・地上37階、延床面積約150,000㎡のタワーが計画されています。オフィス、店舗、そして京王グループのブランドで運営される高級ホテルが入る予定です。2026年初頭時点で、工事スケジュールは見直しが続き、京王電鉄は2025年3月、当初のFY2028(2028年度)完成目標が未定になったと発表したものの、敷地内の既存建物の解体はすでに完了し、準備工事が進められています。そして南エリア完成後に着手される予定の北エリアの開発。現在の京王百貨店とルミネ1を高さ約110m・地上19階の複合ビルへと建て替えるもので、2040年代の完成予定となっています。

新宿駅 西口エリアの開発

Shinjuku Station West Exit Area Development CGI
西口エリア開発(小田急電鉄・東京メトロ・東急不動産)

再開発の最大の部分は、小田急電鉄・東京メトロ・東急不動産が共同で進める西口エリアです。2022年10月からの解体作業を経て、2024年3月に建設が始まり、現在は本格的に工事が進行しています。

その中核となるのが、西新宿に建つ高さ約260m・地上48階のタワーです。東京都庁よりも高く、延床面積は約279,000㎡におよびます。低層部には新宿エリア有数の規模の商業施設が入り、14〜46階はオフィス、最上部には東京を見渡す眺望施設が設けられます。

建物は、地下通路で東京メトロ丸ノ内線に直結します。日本設計と大成建設による設計には、耐震性能や防災システムが盛り込まれています。2023年12月には、オフィス部分が「ZEB Ready」認証を取得しました。ZEBは「Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の略で、ZEB Readyは標準的な建物と比べてエネルギー消費を50%以上削減する設計であることを示します。近年、東京の新しいオフィス開発で広がりつつある基準です

新宿駅の移動はどう変わるのか

CGI Image of New underground pathways that will open under Shinjuku Station
新設が計画される地下通路のイメージ

新宿駅の移動をしやすくすることは、この再開発の要です。2020年には、JR線路の下に新たな東西自由通路が開通しました。幅25m・長さ100mのこの通路の一部には、モーメント・ファクトリーが手がけたLEDインスタレーション「The Color Bath」が設けられ、移り変わる色や模様を映し出します。今後も、本プロジェクトの一環として地下通路が順次整備されていきます。

線路の上空でも東西を結ぶデッキの整備が計画されており、完成は2046年を予定しています。西口駅前広場は、車中心のロータリーから、人中心の広場へと再構成されます。「新宿セントラルプラザ」「新宿テラス」と名づけられた公共空間が設けられる計画です。変化はすでに目に見える形で表れており、2025年1月には駅前の螺旋状の駐車場入口が移設され、2025年9月には地上の南北方向の車線が分離されて、新たな歩行者空間が生まれました。広場の全面完成は2035年度を目標としています。

新宿駅の再開発が東京の不動産市場に与える影響

Nishi-Shinjuku Skyline near Shinjuku Station

新宿の再開発は、広い範囲で不動産価値に影響を及ぼすと見込まれます。新たなオフィス床の供給により、都心における現代的なワークスペースの供給量が増えます。西口タワーだけでも相当のオフィス容量が加わり、南西口の建物群がさらにこれを補います。

商業用不動産にも変化が生じます。大規模な商業空間が、新たな買い物・飲食の選択肢を生み出します。これにより新宿駅周辺の人の流れが変わり、既存の商業物件に影響する可能性があります。

ホテル市場では、西口・南西口の両プロジェクトに高級ホテルが加わることで、新たな供給が生まれます。これらのホテルは、ビジネス客と観光客、とりわけ訪日外国人を対象としています

住宅用不動産、特に新宿駅周辺の物件には、間接的な影響が及ぶと考えられます。新宿の就業拠点としての役割が強まれば、それに伴って新宿駅に接続する鉄道沿線でも住宅需要の高まりが予想されます。なかでも新宿へ直通できる東京西部の郊外エリアは、再開発後のビルで働く人々にとって、より魅力的な居住地となっていくでしょう。こうした流れの中で、駅の東西を問わず新宿エリアの不動産は、再開発を追い風に需要を伸ばしていくと見られます。東京全体ですでに底堅い需要があることに加え、新宿の戦略的な立地や良好な交通アクセスも相まって、こうした影響は周辺エリアの不動産価値へと時間をかけて波及していくものと考えられます。

誰が新宿再開発の恩恵を受けるのか

オフィスで働く人々は、設備の向上とより快適な通勤の恩恵を受けるでしょう。新しい建物には、店舗や飲食店へのアクセスに優れた現代的なワークスペースが備わり、さらに歩行者ネットワークの充実により、駅周辺を行き来しやすくなります。観光客や来街者にとっては、移動のわかりやすさが大きく向上します。駅構造の整理や案内表示の改善、路線間のより直感的な乗り換えが実現することで、初めて訪れる人にとっても新宿は迷いにくい駅になるでしょう。地域に暮らす人々にとっては、住環境の改善が期待できます。公共広場や緑地は人が集い、くつろげる場を生み出し、加えて帰宅困難者への対応施設を含む防災機能の強化により、エリア全体の安全性も高まります。

東京のほかの再開発とのつながり

新宿の再開発は、東京を再構築しつつある大規模再開発の大きな流れの一部です。渋谷駅では近年、大規模な再構築が進められてきました。また、品川と田町の間、港区に開業した新駅・高輪ゲートウェイの周辺でも、オフィス・商業・住宅の床を加える大規模開発が展開されています。

これらのプロジェクトに共通するのは、歩行者動線の改善、インフラの刷新、防災機能の強化、そして国際競争力の向上という目標です。人口の高齢化や働き方の変化、さらには国際的なビジネスと観光を惹きつける必要性を見据えながら、東京は都市としての未来への備えを進めているのです。

新宿駅再開発のスケジュールと今後の見通し

An Image of the now demolished Odakyu building of Shinjuku Station
解体された小田急百貨店(旧本館)の一部

新宿の再開発は、2040年代半ばにかけて段階的に進んでいきます。まず西口タワーの建設がすでに本格化しており、タワークレーンと高層部の鉄骨が新宿のスカイラインにその姿を現し始めています。建物の開業は2029年度末の予定です。

続く2030〜2035年には、西口タワーが本格稼働を迎えます。この間も東西デッキと再構成された西口駅前広場の工事は継続し、完成は2035年度を目標としています。

その後、南西口の南エリアの建物が開業すると、北エリアの建物の計画・建設へと移っていきます。これに伴い、京王百貨店とルミネ1は将来的に営業を終える見込みです。そして北エリアの建物と東西デッキは、2046年までに完成する予定です。

東京で物件を検討する購入者・投資家にとっての意味

東京での物件購入を検討される方にとって、新宿の再開発はいくつかの視点を与えてくれます。まず、新宿駅へのアクセスが良い物件は、エリアの利便性や交通の向上に伴って恩恵を受ける可能性があります。これには新宿そのものの建物だけでなく、新宿に接続する鉄道沿線の住宅も含まれます。

ただし、この再開発は2018〜2019年から公に知られているため、その効果の多くはすでに現在の市場に織り込まれている可能性があります。また、主要な工事の節目は2040年代まで続くため、エリアの変貌は一気にではなく、段階的に進んでいくことになります。

再開発が生む機会は、物件の種別によっても異なります。住宅はアクセスと利便性の向上から恩恵を受けやすい一方、周辺の既存オフィスビルは、新たに供給される床と競うためにリニューアルが必要になる場合があります。

こうした東京の都市再生という大きな流れは、良好な交通アクセスと再開発の余地を備えたエリアが、今後も魅力を保ち続けることを示唆しています。新宿は、そうした変貌を遂げつつある複数の街の一つといえるでしょう。

まとめ

新宿駅の再開発は、東京でも有数の大規模な都市再生プロジェクトです。世界一の乗降客数を誇るこの駅の周辺を再構築することで、これから何十年にもわたり東京を支える現代的なターミナル拠点をつくり出すことを目指しています。

このプロジェクトは、延床面積で数十万㎡におよぶ複数の建物、地上・地下双方にわたる歩行者ネットワークの改善、そして再構成された公共空間によって構成されます。なかでも3つの主要な開発が、スカイラインを塗り替え、人々のエリア内での移動のあり方を変えていくことになります。

不動産市場にとっては、一等地における新たなオフィス・商業床の供給を意味します。これにより、ビジネス・商業の中心地としての新宿の地位はさらに強まり、中心業務地区としての立ち位置も一段と確かなものになっていくでしょう。

工事は2020年代から2030年代にかけて続き、新宿はその過程で少しずつ変貌を遂げていきます。最初の大きな節目となるのは、西口タワーが開業する2030年頃です。新宿グランドターミナルの全体像が完成するのは2040年代となりますが、その恩恵はそれよりずっと早く、街のあちこちで現れ始めるでしょう。

よくあるご質問

新宿グランドターミナルとはどのようなプロジェクトですか?
新宿グランドターミナルは、新宿駅とその周辺を再編する取り組みの正式名称です。2018〜2019年に東京都と新宿区が主導して方針を定めたもので、複数の鉄道会社・デベロッパーのプロジェクトを束ね、歩行者動線の改善、オフィス・商業・ホテル床の追加、防災機能の強化を図ります。

新宿駅の再開発はいつ完成しますか?
再開発は2040年代半ばにかけて段階的に進みます。西口タワーは2029年度末の開業を予定し、再構成された西口駅前広場は2035年度が目標です。東西デッキと南西口・北エリアの建物は、2046年頃の完成が見込まれています。

新しい新宿西口タワーの高さはどのくらいですか?
西新宿に建つ西口タワーは、高さ約260m・地上48階で、約243mの東京都庁よりも高くなります。延床面積は約279,000㎡で、低層部に店舗、14〜46階にオフィス、最上部付近に眺望施設が設けられます。

新宿の再開発は不動産価格にどう影響しますか?
新たなオフィス・商業・ホテル床と、駅アクセスの改善により、ビジネス拠点としての新宿の役割が強まると見込まれます。これが新宿および接続沿線の不動産需要を下支えする可能性があります。計画は2018年から公表されているため、その一部はすでに現在の価格に織り込まれている場合もございます。

新宿駅の再開発を手がけているのはどの企業ですか?
複数の鉄道会社とデベロッパーが関わっています。西口タワーは小田急電鉄・東京メトロ・東急不動産が主導し、南西口の建物は京王電鉄・JR東日本が主導します。より広範なグランドターミナル計画は、東京都と新宿区が調整役を担っています。